働き方が多様化し、「個」の価値観がより重視される現代において、組織設計(Organization Design)の重要性はますます高まっています。その理由は明快です――従業員は、仕事に対して明確な「意味」と「やりがい」を求めているからです。

株式会社リクルートマネジメントソリューションズの調査によれば、入社1~3年目の社員が離職を考える最大の理由は「仕事にやりがいや意義を感じない」(27.0%)でした。つまり、給与を含めた他の条件よりも、職務の意味を感じられない環境こそが優秀な人材を流出させている最大要因なのです[1]。

一方、日本企業の「組織開発」への取り組みは、世界標準と比較するとまだ遅れています。「過度な残業」「曖昧な評価制度」「人材育成の軽視」といった旧態依然とした慣習は、日本経済の停滞を加速させている要因ともなっています。この課題に対して、「個人の努力」に任せるのではなく、組織のシステムや制度として対応を行うべきなのです。

「意味」を提供する組織作りの先進事例

実際に、「意味のある仕事」の提供や従業員のモチベーションを向上させる取り組みにより、生産性向上や離職率改善に成功した企業事例を、国内外の例を挙げて紹介します。

① サイボウズ株式会社(日本):「働きがい」を組織で徹底的に設計

サイボウズは、明確なビジョン共有、柔軟な働き方の導入、個々人のWill・Can・Mustを明示的に合意形成する仕組みを整えました。その結果、離職率が28%から4%以下へ劇的に改善され、生産性が向上。人材採用のコストも軽減できました。また、同社は常に「個々の事情に柔軟に対応する」制度を構築し、社内満足度や生産性を向上させることに成功しています[2]。

② HubSpot(米国):「透明性」とキャリアパスの明確化で従業員満足度向上

マーケティングソフトウェアを提供するHubSpotは、徹底した透明性の高い組織設計を実践し、すべての社員に明確なキャリアパスを示しています。具体的には、昇進や評価制度の基準を明確にし、社内で公開することで、従業員の不安や不信感を解消しました。その結果、従業員エンゲージメント指標である「eNPS(Employee Net Promoter Score)」が大幅に向上し、業界平均を大きく上回る73を達成しています(一般企業の平均は約10〜30)[3]。

③ Spotify(スウェーデン):「成長を支える環境」の組織的な整備

Spotifyは人材育成環境の設計に注力し、メンター制度や個別教育プログラムを提供しています。また「Squad(小規模チーム)」「Chapter(専門分野ごとのグループ)」「Guild(部門横断的な自主勉強会)」など、成長を支えるユニークな組織構造を構築。これにより従業員エンゲージメントが高まり、世界中のトップクラスの人材を引きつけることに成功しています。実際にSpotifyは「世界で最も働きたい企業ランキング」(LinkedIn調査)で常に上位にランクインしています[4]。

優れた組織設計のために重視すべき3つの要素

これらの先進企業事例からも、組織設計を成功させるためには、以下の3つのポイントを徹底することが重要だとわかります。

  1. 効率性の向上

    • 情報共有プロセスや評価制度にかかる工数を削減し、現場の負担を軽減する仕組み作りを行う。

  2. 正確性の追求

    • 透明性を担保し、組織と従業員の間で信頼関係を強化。コンプライアンス違反や曖昧さによるミスを排除する。

  3. 公平性の確保

    • 制度の運用や情報公開において全社員に公平であること。特例的対応を行う場合は、その理由を明確かつ客観的に示す。

組織設計への取り組みは、待ったなしである​

組織設計や人材制度の構築は決して容易ではありません。論理だけではなく、人の感情とも向き合う必要があり、忍耐強く取り組む覚悟が求められます。

しかし、スピードと人材獲得競争が激化する現代だからこそ、企業規模の大小を問わず、組織設計に今すぐ取り組む必要があります。未来の競争力と生産性を確保するためにも、「意味」と「やりがい」を提供する組織づくりを最優先の経営課題として位置づけてみてはいかがでしょうか。

参考文献・リソース一覧:

[1] リクルートマネジメントソリューションズ「新人・若手の早期離職に関する実態調査」
https://www.recruit-ms.co.jp/news/pressrelease/0000000417/

[2] サイボウズ株式会社 「100人100通りの働き方」
https://cybozu.co.jp/company/work-style/

[3] HubSpot Culture Code and Employee Satisfaction
https://www.hubspot.com/careers/culture
https://blog.hubspot.com/service/employee-net-promoter-score

[4] Spotify’s Agile Organizational Structure and Talent Strategy
https://hrblog.spotify.com/
https://www.linkedin.com/pulse/spotify-agile-way-anders-ivarsson/

03/25/2025
組織開発

なぜ今、「組織設計」が求められているのか?

働き方が多様化し、「個」の価値観がより重視される現代において、組織設計(Organization Design)の重要性はますます高まっています。その理由は明快です――従業員は、仕事に対して明確な「意味」と「やりがい」を求めているからです。 株式会社リクルートマネジメントソリューションズの調査によれば、入社1~3年目の社員が離職を考える最大の理由は「仕事にやりがいや意義を感じない」(27.0%)でした。つまり、給与を含めた他の条件よりも、職務の意味を感じられない環境こそが優秀な人材を流出させている最大要因なのです[1]。 一方、日本企業の「組織開発」への取り組みは、世界標準と比較するとまだ遅れています。「過度な残業」「曖昧な評価制度」「人材育成の軽視」といった旧態依然とした慣習は、日本経済の停滞を加速させている要因ともなっています。この課題に対して、「個人の努力」に任せるのではなく、組織のシステムや制度として対応を行うべきなのです。 「意味」を提供する組織作りの先進事例 実際に、「意味のある仕事」の提供や従業員のモチベーションを向上させる取り組みにより、生産性向上や離職率改善に成功した企業事例を、国内外の例を挙げて紹介します。 ① サイボウズ株式会社(日本):「働きがい」を組織で徹底的に設計 サイボウズは、明確なビジョン共有、柔軟な働き方の導入、個々人のWill・Can・Mustを明示的に合意形成する仕組みを整えました。その結果、離職率が28%から4%以下へ劇的に改善され、生産性が向上。人材採用のコストも軽減できました。また、同社は常に「個々の事情に柔軟に対応する」制度を構築し、社内満足度や生産性を向上させることに成功しています[2]。 ② HubSpot(米国):「透明性」とキャリアパスの明確化で従業員満足度向上 マーケティングソフトウェアを提供するHubSpotは、徹底した透明性の高い組織設計を実践し、すべての社員に明確なキャリアパスを示しています。具体的には、昇進や評価制度の基準を明確にし、社内で公開することで、従業員の不安や不信感を解消しました。その結果、従業員エンゲージメント指標である「eNPS(Employee Net Promoter Score)」が大幅に向上し、業界平均を大きく上回る73を達成しています(一般企業の平均は約10〜30)[3]。 ③ Spotify(スウェーデン):「成長を支える環境」の組織的な整備 Spotifyは人材育成環境の設計に注力し、メンター制度や個別教育プログラムを提供しています。また「Squad(小規模チーム)」「Chapter(専門分野ごとのグループ)」「Guild(部門横断的な自主勉強会)」など、成長を支えるユニークな組織構造を構築。これにより従業員エンゲージメントが高まり、世界中のトップクラスの人材を引きつけることに成功しています。実際にSpotifyは「世界で最も働きたい企業ランキング」(LinkedIn調査)で常に上位にランクインしています[4]。 優れた組織設計のために重視すべき3つの要素 これらの先進企業事例からも、組織設計を成功させるためには、以下の3つのポイントを徹底することが重要だとわかります。 効率性の向上 情報共有プロセスや評価制度にかかる工数を削減し、現場の負担を軽減する仕組み作りを行う。 正確性の追求 透明性を担保し、組織と従業員の間で信頼関係を強化。コンプライアンス違反や曖昧さによるミスを排除する。 公平性の確保 制度の運用や情報公開において全社員に公平であること。特例的対応を行う場合は、その理由を明確かつ客観的に示す。 組織設計への取り組みは、待ったなしである​ 組織設計や人材制度の構築は決して容易ではありません。論理だけではなく、人の感情とも向き合う必要があり、忍耐強く取り組む覚悟が求められます。 しかし、スピードと人材獲得競争が激化する現代だからこそ、企業規模の大小を問わず、組織設計に今すぐ取り組む必要があります。未来の競争力と生産性を確保するためにも、「意味」と「やりがい」を提供する組織づくりを最優先の経営課題として位置づけてみてはいかがでしょうか。 参考文献・リソース一覧: [1] リクルートマネジメントソリューションズ「新人・若手の早期離職に関する実態調査」https://www.recruit-ms.co.jp/news/pressrelease/0000000417/ [2] サイボウズ株式会社 「100人100通りの働き方」https://cybozu.co.jp/company/work-style/ [3] HubSpot Culture Code and Employee Satisfactionhttps://www.hubspot.com/careers/culturehttps://blog.hubspot.com/service/employee-net-promoter-score [4] Spotify’s Agile Organizational Structure and Talent Strategyhttps://hrblog.spotify.com/https://www.linkedin.com/pulse/spotify-agile-way-anders-ivarsson/
read more

Categories

  • Business × Design
  • Business in Japan
  • Culture & Craft
  • Playbook
  • イベント
  • コミュニケーション
  • デザイン
  • デンマーク
  • ビジネス×デザイン
  • プロダクトデザイン
  • ヨーロッパ
  • 組織デザイン
  • 組織開発

search

Recent Posts

    tags

    3daysofdesign2025 Cultural business Denmark Japan Japanese Traditional Art Crafts Marketing Market insights MVV Organizational development Partnership Product design インテリアデザイン デザイン経営 デンマーク レポート 伝統工芸 国内事例 海外事例 組織開発
    my email

    hello@koolkage.com