06/30/2025
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コペンハーゲン「3daysofdesign 2025」現地レポート:未来のデザインの最新トレンド

インテリアデザインの聖地、デンマーク

HAY!(雑貨)、Le Klint(照明)、FRITZ HANSEN(椅子)などのブランドをご存知の方も多いのでは。その中心都市コペンハーゲンでは、毎年6月に開催される「3daysofdesign」が、世界中のデザイナーや建築家、企業人を魅了しています。本稿では、現地で3日間にわたって調査・視察を行ったレポートをお届けします。

日本と北欧、そして世界をつなぐ新しいクリエイティブコラボレーションの可能性を模索されている皆様にとって、有益な視点を提供できれば幸いです。

世界を魅了するデザインイベント「3daysofdesign」とは?

「3daysofdesign」は、現在では世界でも有数のインテリアとデザインの祭典として評価されており、2025年のテーマは“KEEP IT REAL”。正統性、品質、職人技といった本質的な価値に焦点を当て、コペンハーゲン市内8区を舞台に、多彩な展示と対話の場が設けられました。

キーワードは、「サステイナブル」、「ストーリーテリング」、「作り手の個性」。これらが今後のデザイントレンドの中核を成していく兆しが、至る所で見受けられました。

デンマークデザインを探る

デンマークは、ベルリン、ロンドン、ミラノ、パリとは異なる「静的な美」の力を有したデザイン都市です。今回の視察の目的は、この独特のデザイン哲学と手仕事への敬意を、日本の伝統工芸とどう交差させられるかを深く考察することにありました。

グローバルな価値創造を目指すクリエイターや企業にとって、異文化融合のモデルケースとして捉える価値があると考えています

和の美意識と北欧デザインの融合

Søuld(ソウルド)

 海藻を原料としたバイオマテリアルを活用し、ウォールインテリアや建築素材を開発。カーボンネガティブであることを追求しながら、素材とデザインの融合に挑む姿勢が際立っていました

奥のウォールデコはSøuldのシグナチャーである、海藻をリサイクルしたウォールデコ。

Motarasu

日本文化からインスパイアされたデザインスタジオ。和紙や木工、焼き物といった素材にデンマークの機能性美を組み合わせたプロダクト群は、日本と北欧の精神的融合を体現しています。

ブラックファーストのイベントで用いられた机の椅子は、MOTARASUのデザイン。

KARIMOKU CASE × Linie Design

日本の家具ブランド・カリモクが、スカンジナビアの風景と見事に溶け合う展示を披露。麻布や木工を用いた展示空間には、侘び寂びの精神が織り込まれていました。

主題はEchoes of Texture。まさに、日本の織物と侘び寂びがそこにありました。

ビビッド、レトロ、キュートな色彩世界

St. Leo(セント・レオ)

自然由来の塗料を用いた塗装ブランド。Lime PaintやBio Paintシリーズは、建築空間との融合を通じて、人と自然に優しい「色」の未来を示唆していました。

実際の日常風景に、色を溶け込ませることで、サステイナブルな塗料の可能性を演出。

Helle Mardahl(ヘール・マルダール)

アートとクラフトを融合させたガラスアーティスト。パステルカラーとフォルムが織りなす個性は、日本の「可愛い」美意識とも共鳴し、ブランドの原点回帰を感じさせる展示となっていました。

ヘール・マルダール自身も芸術家であり、パステルカラーとコロンとしたシルエットが決め技。

Occhio(オッキオ)

ドイツの照明ブランド。色彩豊かな空間と照明の相互作用を巧みに演出し、個性と空間演出の新たな可能性を感じさせる展示でした。

色と照明の関係性について改めて訴求しながらも、コペンハーゲン特有のカラフルな世界にどう溶け込んでいるシーン。

伝統と現代性の出逢い

astep(アステップ)

イタリアのAlessandro Sarfattiによる照明ブランド。デンマークらしい素朴さと、イタリア的な「美の調和」が調和する洗練された展示空間が印象的でした。特に、2025年のテーマに通じる「正統性」や「職人性」が随所に表現されていました。

デンマーク特有のミニマルな世界に、イタリア風な美の感覚を与える作品です。
モダニティの中にも、独創性が垣間見えるブランド。

The Poster Club

グローバルなアーティストの作品を扱うコペンハーゲン発のアートプラットフォーム。古典的なアパルトマンの壁に飾られた現代アートは、「アートがインテリアとして共存する未来像」を体現していました。

クラシカルなコペンハーゲンのアパルトマンの一室で、現代のアートがどう存在を解き放つのでしょうか。

学びと示唆:ブランドの「意味」が価値を生む時代へ

デザインの本質とは?

3daysofdesignは、単なる展示会ではなく、「個性」と「志」を持ったブランドが、生活者と誠実に対話する場でした。空間には職人やデザイナーの「アイデンティティ」が込められており、それを理解する消費者との間に共感の連鎖が生まれていることが印象的でした。

ブランディングとは何か?

ただ「サステナブル」であるだけでは、記憶には残りません。重要なのは、そこに込められた「物語」や「哲学」、そして「感性」なのです。3daysofdesignに出展した各ブランドは、製品そのものよりも「思想」としての価値を前面に打ち出し、それが結果としてブランディングの核となっていました。

求められるのは「共感から生まれる価値創造」

私たちはこの視察を通じて、「素材」や「技術」もさることながら、「思想」や「姿勢」によって共感されるブランドが、これからの時代における真の価値創造の担い手となることを確信しました。

伝統と革新、倫理と美、そしてローカルとグローバル。これらを分断せず、重ね合わせることで、これからの時代に愛されるクリエイティブが育まれていくのです。

3daysofdesign2025インテリアデザインデンマークレポート伝統工芸
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